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2016年11月02日更新
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救世主だ!D球団のH投手(22)がS球団を相手に7回2/3を2安打無失点に抑え、シリーズ初勝利をもたらした。
新人投手では球団史上初の先発。3連敗で王手をかけられた中、8回1死まで無安打投球の快投を見せた。あと5人でシリーズ史上初のノーヒットノーランの快挙は逃したが、崖っ縁のチームを救った。
あとアウト5つだった。8回1死。Hは代打・Tに対し、チェンジアップを2球続けて空振りを奪った。簡単に追い込み、3球目もチェンジアップ。高めに浮いた。右中間への二塁打で初安打を許し、唇をかんだ。
「(安打が)ゼロだということは分かっていた。あそこで打たれていなければ、最後まで投げ切れたかもしれない。悔しさはあった」。110球目でシリーズ史上初のノーヒットノーランを逃し、完封もできなかった。それでもチームを救ったことに変わりはない。
3連敗という崖っ縁で託されたマウンド。球団の新人では史上初のシリーズ先発にも、臆することはない。宝刀のチェンジアップが強力打線を沈黙させる。唯一のピンチの3回2死三塁。今宮に4球続けてチェンジアップを投げ込んだ。カウント2―2と追い込み、最後はフォークで空振り三振。「捕手としっかり使っていこうと話していた」。その後もチェンジアップが140キロ台の直球を引き立てた。
「自分が終わらせないという強い気持ちで投げた。集中が凄くできていて、一人一人の打者と勝負ができた」。ポストシーズン2連勝。初対戦のS球団から白星を挙げ、レギュラーシーズンを含めて4戦4勝で、本拠地でも無傷の6連勝。まさに無敵の三重奏だ。
カウントを取るものと空振りを取る2種類のチェンジアップを投げ分ける。神奈川大4年時に研究して習得したものだ。4年間の集大成として臨んだ関東地区大学選手権。
ちょうど1年前の11月1日だった。D球団入団が決まっていたHは横浜で共栄大戦に臨んだが、5失点で初回わずか1死で降板。号泣して大学野球生活を終えた。「プロで汚名を晴らしたい」。1年後、同じ球場でのプロ最高峰の戦いで最高の投球を見せた。
佐賀県出身の22歳。高校時代に自宅のテレビで見ていたのが、S球団の試合だった。「Wさんは同じ左腕なので当時から参考にしていた」。Wも4回まで無失点を続けた。「粘り負けしないように、とにかく粘っていこう」と憧れの存在に投げ勝った。
逆襲のシリーズ初勝利。「明日も絶対に勝ちます!」。新人左腕の力強い言葉が横浜に響いた。
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